2009年2月27日金曜日

 昨年末、松山事件の斉藤幸夫さんの母ヒデさんが101歳で亡くなられた。仙台の繁華街一番町で、息子の無実を訴えて、いつも立っておられるのを見たのは昭和55年頃だった。ひっつめ髪で日焼けした小柄な方で、肩のたすきには、「無実の息子を死刑から救って下さい」と書いてあった。二度目に見かけた時に小冊子を貰いカンパした。三度目に見かけた時に署名して話した。それから見かけると挨拶をした。
いつも穏やかだけれど、鬼気迫るものにうたれた事を、今もはっきり思い出すことができる。
 40歳頃の私は、中高生の良い子供達の母親で、何の煩いもなく楽しく暮らしていたので、ヒデさんの姿は衝撃的だった。これからの人生に何が起こるかわからないという強い恐れを持ち、そして何が起ころうと子供達の母を生きるんだと強く思った。
 昭和59年に仙台地裁で再審無罪判決が出た。
それから24年間を生きられたのだと思った。

2009年2月22日日曜日

花椿通り

 友人の銀座の事務所で、高校の同期会の新聞発行の手伝いをした。同級生の1/5が、関東一円に住んでいる。年一回この時期に、一年間の登山、句会、食事会、ゴルフ、ハイキング、今年の予定、写真等を載せてあり、編集長が作って呉れているのを封筒に詰めて発送した。
 戦争中には、大勢の生徒を海軍兵学校へ合格させたという学校は、男子一色だった。、女子の人数は少なく、隅の方に小さくなっていたけれど、今となっては女子の方が元気が良い。
 少し早目に出かけて銀座の街を歩いた。通りの名前が、御門・金春・並木・すずらん・みゆき・数奇屋・ガス灯・花椿ときれいで、それぞれ街灯が違う。普通のビルの一階に消防車一台が収まっていて、丁度朝の訓練を数人でしておられた。キョロキョロしながら歩いていたので、案の定、道に迷ってしまった。

2009年2月18日水曜日

凧市

 王子稲荷神社の二の午祭りへお参りに出かけた。去年も風の強い日で、電車がノロノロ運転だったなあ。王子のお稲荷さんは、江戸時代から商売繁盛と火難を除けるとかで、2月の初午と二の午の日は賑わっている。神社までの通りは、屋台が並び美味しいにおいがする。境内には凧市が出ている。台所に貼ろうと、お守りの凧を神社で求めた。史料館で谷文晁の‘龍’の板絵を見てから、お茶のサービスで‘こんにゃくの味噌田楽’を食べて帰った。奴凧は、江戸期の火消しの印半纏と結びつけたものらしい。又、凧は風を切るということから、火事を防ぐお守りと言われている。上の彫り物は、バリ島の‘魔除け’です。
   「二の午や火防せの凧を子の家に」     つるばみ

2009年2月17日火曜日

ラ・トラヴィアータ(道に迷った女)

 東京文化会館へ、二期会の「椿姫」を見に行った。オペラの事は何も知らないので、これまでオペラ一筋に鑑賞してこられたAさんに連れて行って頂いた。チケットを手にしたのが半年前で、少し予備知識も仕入れた。お話もいろいろ伺って楽しみにしていた。
 アレキサンドラ・デュマ・フィスの小説「椿の花を持つ女」を読んで、彼の実体験の恋の物語だとも知った。パリの高級娼婦ヴィオレッタとプロヴァンスの資産家の息子アルフレードの恋は、結核と父親に拠って、秋から冬の短い間で終わってしまう。
 音楽とプリマドンナのソプラノに酔っているうちに、3幕目も感動的な盛り上がりの中で終わった。Aさんは何度もご覧になっているので、「舞台装置、衣装、照明とテノールの方の声の伸びがチョッとね。いつも最後は涙が零れるんだけれど…」とおっしゃったけれど、私は舞台の両脇に浮かび上がる字幕に助けられて、よく判り泣いてしまった。
 ヴェルディの曲は、優雅で身体の中にしみこんでくる。東京フィルハーモニー交響楽団の演奏も素晴らしくてジーンとした。「一年に一度で良いから、又御一緒させて下さいね。」と Aさんにお願いした。

2009年2月12日木曜日

竹筒

 房総の道の駅で、野趣溢れる竹筒(¥250)を見つけた。 沢山ある中から、小枝を残してあるのに決めた。野の花を投げ込むには、ぴったりだと喜んでいる。 万年青・ストック・ローズマリーです。
 インターラーケンで求めた花瓶敷きには‘エーデルワイズ’の花の刺繍がしてあり、気に入っている。
 20年前、房総の鋸山のお土産に‘竹の15cmの物差し’を 娘が呉れた。 「乃こぎり」と「私の名前」と「小花」が彫ってある。薄くて、使い勝手が良くて、ずーっと仕事の時に使っている。
 お爺さんが 「これをあげる人の名前は?」と聞かれたので、娘が答えると、「サッサッサッ!と 名前を彫って下さった!」 と感激していたっけ。
 

2009年2月9日月曜日

判定 D

 1月に、3年ぶりに健康診断を受けた。判定結果は D (くわしい検査が必要です。)だった。 「何故?ずーっと A だったのに!」 と驚いた。運動も熱心にしているし、食事も注意しているのに…。
 数十年前、子供達の通知表を開いて、「何故だ!」と クラッとした感覚を思い出した。
早く再検診を受けに行かねば…。来週は、白鳥を、宮城県北部の伊豆沼へ見に行くつもりだったのだけれど。 もう‘白鳥の北帰行’は始まっている。

2009年2月5日木曜日

早春

房総半島へ行くには、お台場を抜けて、東京湾アクアラインで木更津へ渡った。若い人(40歳代)の運転は、車窓が楽しめて、快適・安心だ。早朝に出発したので、途中‘館山グランドゴルフ’で、お茶にする。道路沿いに水仙街道が続き、菜の花街道が続く、アロエのオレンジ色の花もあちこちに咲いている。花園やいちご園の看板があちこちに立っていて誘っているが、何処に入って良いか判らない。やっと車を止めて、入場料¥500を払って花畑に入ると、皆な無口になって切った。 早春に咲くストック(アブラナ科)を沢山摘んだ。横の畑には、空豆の花が 白い花弁に紫色の模様が入って、誠実に咲いていた。
 白い八角形の野島埼灯台を見ながら、車を進めて、昼はお寿司を食べた。農産物の市場で見事な‘聖護院かぶ’を見つけて、千枚漬けにすることに。 おみやげは、千倉の‘目刺’です。目刺は、春の季語だし、安いし、身体に良いしで決めました。
       「目刺食ぶ潮の香りを引き寄せて」 つるばみ

2009年2月2日月曜日

如月

 唱歌の 「冬の星座」 「冬景色」 「冬の夜」 「灯台守」 を歌うと、今頃の情景を実感する。この季節に詩を書かれたのだなあ!と思う。如月の三日月は、手を伸ばせば鋭くて切れそうだ。
 寒いけれど、節分・立春になると、雛人形を飾らねばと浮き立つ気持ちになる。豆まきの時は、私の心の中の鬼にも‘鬼討ち豆’を、ぶっつけよう!!
 小さな孫の為に、木目込みの雛人形を作った。銀座‘香十’で小さな雪洞も求めた。以前、友人から貰った‘布に印刷した雛人形’を 額に入れてみた。
 食べた蛤に和紙を着せたり、アサリに小布を貼ったり、伊万里焼、清水焼、高千穂神社の土鈴、七宝焼、クリスタルガラス、まくらめ編み、箱根の木工細工 と長い年月に、沢山の雛人形が集まってきた。 今週は、房総半島へ 早春 を見つけに行くつもりだ。