2009年1月29日木曜日

湯のし店

 近所のしもた屋の軒に、風雨に曝された木の「○○湯のし店」という表札が掛かっている。家の裏手で反物の湯のしや、洗いをして居られるのかしら?と、いつも気にかかっていた。
 ある日決心して、呼び鈴を押して御主人に聞いてみた。「祖母と母の古い着物が数枚あるのですが、解いて、洗い、しみの取れないのは染めて、仕立て直せるでしょうか?」 「一度見せて下さい。絹物、麻上布は、古くても生き返りますよ!紬は洗いを重ねる程、艶と腰が出ます。昔は最初に女中さんに着せて、艶が出てきてから奥様が仕立て直したものです。」と言われた。処分しかねていた思い出の品々を甦らせる作業を進めるうちに、着たくなってきて、着付け教室に週1回、2年間通った。BWHのサイズが同じ寸法になってきた此の頃は、ますます着物が馴染んできた。子供の頃の友達に会うと「お母さんに似て来たね!びっくりした!」と言われる。母は、戦中戦後の食糧難の頃、庭を畑にし、鶏舎を作って卵をとり、鶏糞を肥料にして、美味しく食べさせて呉れたなあ!と思い出す。

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